ご依頼(見積り)・ご相談

まず予備調査として建築物の概要や設計図書の有無及び建物使用履歴の確認、
診断に必要な情報や資料の収集を行い、診断計画の立案をします。
どのような調査を行うかについては、建物の規模・重要度、
調査の可否などを考慮し、診断レベルに応じて診断者が適切に設定します。
概算見積書の提出後、最終金額の決定します。

現地調査の実施

現地調査は、直接現地に赴き建物の現況を調査します。
・図面照合(柱・梁や壁の断面寸法及び位置、壁の開口寸法、増改築による壁や開口等の変更)
・外観調査(ひび割れ、不同沈下、エキスパンションジョイント等)
・材料調査(コンクリートコア採取による圧縮強度・中性化深さ測定等)
・コンクリート試験は、第三者機関に依頼します。(約3週間)
・敷地内及び周辺の状況(地盤種別、がけ、敷地の傾斜等)
・はつり調査(構造図が無い場合に柱、梁、壁等の鉄筋径・本数、鉄骨のサイズ等を調査)

耐震計算

耐震診断は、予備調査及び現地調査の結果を踏まえて、
建物が保有する耐震性能を評価し、現行の耐震基準と比較して
判定を行うことで、各種基準や指針等に準拠し、既存建物の
大地震時における耐震安全性を評価し、補強の要否を判定することです。
耐震診断は、構造設計に精通している一級建築士が耐震診断の手法に基づいて行います。

耐震診断結果報告

耐震診断後、成果物に対して、ご確認いただきます。 必要に応じて修正を行い、納品となります。

耐震性能を満足していない場合

耐震性能が所定のレベルに
達していないと判断された場合には、
基本的に耐震補強の検討を行うこととなります。
補強工事を行うことを耐震改修といいます。

耐震性能を満足している場合

耐震改修工事は不要



耐震補強設計

耐震診断実施後は必要に応じて耐震補強案を検討します。
耐震改修を行うに当たり、
現行の建築基準法が定める基準に従い、
まずその建物に応じた目標性能を設定する必要があります。
建物の剛性・耐力のバランスは当然ながら確保したうえで、
建物の使用性、施工性、工期やコスト等を考慮します。

耐震改修工事

耐震化に対する助成制度

建築物の耐震改修を促進するため、国および地方公共団体では、
耐震診断・耐震改修に支援を実施しています。その一例として、。
下記項目の実施にあたっては、補助制度が準備されています

  1. 耐震診断
  2. 耐震改修設計
  3. 耐震改修工事

補助金額については、建物用途、規模、建築地、その他の条件により変動します。
また、関連法規の改正等により、補助対象建築物、補助割合も変動します。
補助申請にあたっては、該当項目実施前に必ず対象建築物の
所在する地方公共団体へ問い合わせた上で、十分に情報を収集してご対応ください。
なお、地方公共団体により対応が異なりますが、下記内容には注意が必要です。

  1. 補助金申請は、耐震診断、改修設計、改修工事に着手する前に行い、
    交付決定通知を受けてから契約を締結する必要がある場合があります。
  2. 補助金申請には、第三者評価機関による耐震診断判定、耐震補強計画判定が必要になる
    場合があります。
  3. 補助金交付には、設計費や工事費を支払った領収書が必要になります。
    そのため、工事金額等の全額を準備する必要があります。
  4. 耐震安全性が確保されていない建築物の建替えについても、
    耐震改修工事の補助対象となる場合があります。

以下に関連情報のホームページアドレスを記載しますのでご参照ください。

耐震改修支援センター(耐震支援ポータルサイト、日本建築防災協会HP )

各自治体の耐震診断・改修の相談窓口一覧(日本建築防災協会HP )

耐震対策緊急促進事業補助金交付申請(耐震対策緊急促進事業実施支援室HP 

耐震基準の変遷

 日本は世界有数の地震大国であり、
日本の構造設計技術は地震とともに発達してきたと思います。
耐震設計基準(建築基準法)の変遷をみますと、大地震の被害を教訓として改訂されています。

大正13年に世界に先駆けて建築物の耐震基準が制定されました。 
その後、建築基準法として制定されたのは1950年ですが、
地震の大きさも中小地震(震度5弱)を対象としていました。
1963年には建築基準法が改正され、
従来の絶対高さ制限 (100尺制限) が一部撤廃され、
超高層建築物の建設が可能となりました。

その後1971年に建築基準法が改正され、
1981年には新耐震設計法として建築基準法が大改訂正されました。
それまでは中小地震に対する躯体の安全性評価であった基準法が、
大地震時(震度6弱)における人命保護についても言及し、
大地震時にも建物は崩壊せず、避難可能なことを規定しました。
またこの時、建物の変形についてもチェックすることが義務付けられました。

性能設計へ

 1995年に兵庫県南部地震(M7.3)が発生しましたが、
新耐震設計法に拠り設計された建物には崩壊に至るような被害が
ほとんど無かったことが報告されています。2000年の建築基準法改正により、
性能設計の考え方が導入されました。
建築主の合意のもとに設計者が建物のグレードを設定し、
責任を持ってその性能を保証することとなりました。
“耐震性能”でいえば、地震外力の設定・構造躯体の安全性まで含めて細かく
性能を設定する必要が求められています。

安心の世界へ

 このように耐震性能は建物が崩壊する事のない
“安全確保”から、建物の性能を保障し安心して生活を送る
“安心確保”の時代へと変遷してきました。

我々は構造技術で、建築主や利用者が快適に過ごせる安心空間を提供するために、
日々研鑽し進化していくことにまい進しております。